【副交感神経は2系統ある】
副交感神経は大きく分けて2つの経路があります:
脳神経性の副交感神経(上部)
→ 第3、7、9、10脳神経:
– 動眼神経(瞳孔調節)
– 顔面神経(涙・唾液)
– 舌咽神経(唾液)
– 迷走神経(心臓・肺・胃腸など)←ここがメイン
仙髄性の副交感神経(下部)
→ 仙髄(S2〜S4)から出て、骨盤内臓器を支配
直腸・膀胱・性器などの副交感神経支配を担う
【脳神経の独占的支配か?】
瞳孔・涙腺・唾液腺・胃腸・心臓・肺など:→ 脳神経がほぼ独占支配
骨盤内臓(排尿・排便・性機能など):→ 仙髄副交感神経が支配
つまり、頭〜胸部臓器までは脳神経による副交感神経がほぼ支配していて、骨盤領域だけ仙髄からの副交感神経がカバーしているということですね。
【副交感神経を鍼灸で活性化させる3つの主なルート】
① 迷走神経を刺激するルート(脳神経性副交感)
迷走神経は脳神経の中で唯一、内臓まで分布する副交感神経であり、全副交感線維の75%を担っていると言われます。
リラックス・消化・排便など、自律神経調整にとって重要。
◎鍼灸で狙えるポイント
必須ポイントとして頚部
後頭下筋群や頭半棘筋、頭板状筋などは自律神経治療には必ずアプローチする必要があります。
【自律神経治療における補助的なアプローチ】
耳介(耳たぶや外耳道周辺)
→ 耳介枝(オーレンベルク神経)が迷走神経の分枝!
→ 神門(しんもん)、耳尖、翳風など
胸部・腹部の反応点(中脘、天枢、気海など)
→ 内臓支配への遠隔刺激
呼吸に関与するポイント(膻中、だんちゅう)
→ 呼吸が深くなる=迷走神経が優位になる
② 顔面の副交感ポイント(顔面・舌咽神経)
涙腺や唾液腺、鼻腔などを支配し、「顔まわりのリラックス」を作る。
ここを緩めると、「力が抜けた」「呼吸が入りやすい」「表情が柔らかくなった」と言われることが多いです。
◎鍼灸で狙えるポイント
翳風(えいふう)、完骨、天容、天牖、風池、風府
→ 顔面・舌咽神経の通過部、また頚部の交感神経幹も近く、副交感とのバランスが取れる
百会や印堂など中枢系へのアプローチも副交感を優位に導きやすい
③ 骨盤内臓神経(仙髄性副交感)への刺激
排尿・排便・性機能などを調整する。仙骨付近のアプローチが有効。
「腸活」「婦人科系トラブル」「便秘・頻尿」などで重要なターゲット。
◎鍼灸で狙えるポイント
次髎・中髎・上髎・下髎(仙骨孔上)
→ 仙髄からの副交感神経線維(骨盤内臓神経)の出口
胞肓、秩辺、陰部神経周囲のツボ(会陰、百会〜会陰ルート)
※不眠・動悸・胃の不快感・息苦しさなどの“自律神経症状”は、副交感神経のスイッチが入っていないケースが多いです。
交感神経を「抑える」よりも、副交感神経を「優位にする」イメージで施術を組み立てることが大切だと思っています。
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