迷走神経は脳神経の中で唯一、内臓まで分布する副交感神経であり、全副交感線維の75%を担っていると言われます。
【1. 迷走神経とは?】
- 脳神経10番(第X脳神経)
- 名前の「迷走」は、さまようように全身に分布するから。
- 副交感神経の約75%を担う、自律神経の王様
- 延髄から出発し、首→胸→横隔膜を超えて腹部臓器まで広く支配
【2. 迷走神経の走行:ざっくり構造】
延髄
↓
頸部(内頸静脈・頸動脈の間を下降)
↓
胸腔内(心臓・肺)
↓
食道(食道神経叢を形成)
↓
横隔膜を貫いて腹腔へ
↓
胃、小腸、肝臓、膵臓、腎臓、大腸の一部まで分布
※特徴
- 右と左の迷走神経は途中で若干違うルートをとりますが、基本的に胸腹部臓器へ副交感支配をする神経。
- 鍼灸的には、頚部(メイン)・耳・胸腹部への刺激でアクセス可能。
【3. 迷走神経の“情報の流れ”】
これは意外かもしれませんが
迷走神経の約80〜90%は求心性=「体から脳へ」情報を送っている!
つまり、「脳が腸をコントロールしている」だけじゃなく、
腸(内臓)の状態が脳の感情や思考に影響している
これがまさに「腸脳相関」です。
【4. 腸脳相関とは?】
一言で言うと:
腸は第二の脳であり、脳と密接に連携している。
双方向のルートがある:
- 脳 → 腸:
– ストレスで胃腸が痛くなる(交感神経興奮)
– 緊張するとお腹がゆるくなる - 腸 → 脳:
– 腸内環境が悪いと気分が沈む
– 発酵食品や食事が心に影響する
主要な経路
- 神経経路(迷走神経)
- ホルモン・サイトカイン経路(腸管ホルモン、免疫)
- 腸内細菌経路(腸内フローラが神経伝達物質に影響)
※頚部のトリガーポイントを処理することは、自律神経を整えること。
副交感神経が優位となり、迷走神経が正常に働けば、その影響は腸へ、さらには脳へと波及していきます。
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