「腰痛専門」の看板に、ちょっと違和感があります
最近よく見かける「腰痛専門」をうたう治療院の広告。
もちろん、腰痛で悩んでいる方が多いのは事実ですし、それに特化することで患者さんに安心感を与えるという意味では一理あるのかもしれません。でも、正直に言うと、私はちょっと違和感を覚えています。
なぜなら——腰痛の約8割は、実はそんなに難しいものではないからです。
筋肉の走行も単純。
動きもシンプル。
痛みの出る原因もパターン化されていて、ある程度経験を積んだ鍼灸師であれば、数回の施術で改善へ導けるケースがほとんどです。
実際、私の鍼灸院でも腰痛の患者様は多くいらっしゃいますが、施術回数が必要なのは筋肉の損傷などがある場合で、それ以外は1〜3回で改善することも少なくありません。
だから「腰痛専門」と言われても、あえてそこに特化する必要性を、私はあまり感じていません。
鍼灸院は“専門特化”より“オールラウンダー”であるべき
集客的には「○○専門」と打ち出した方がわかりやすいという意見もあります。それも理解はしています。けれど、鍼灸師はやはりオールラウンダーであるべきだと私は考えます。
なぜなら、患者さんの不調は実に多岐にわたるからです。
肩こり、腰痛、頭痛、膝の痛み、自律神経の不調、不妊症、不安障害、婦人科のトラブル…現代の生活で生じる不調は、決して一つに絞れるものではありません。
そして、たとえば「肩こり」の裏にあるのが実は「不安感」だったり、「不妊症」の背景に「慢性的な腰痛」や「冷え」があったりすることもある。だからこそ、幅広く対応できる知識と技術が必要なのです。
当院でも、耳鳴り・めまい・自律神経の不調から、逆子や不妊治療といった女性特有のお悩みまで、実に多岐にわたる症状に対応しています。
「病院では異常なしと言われた」「どこに相談していいかわからない」
そんな声にこそ、鍼灸の力が必要だと実感しています。
もちろん、得意・不得意はあります。でも、どんな症状にも一定の視点で対応できる。それが鍼灸院の強みであり、目指すべき姿だと私は思っています。
とはいえ、腰痛の患者さんはやはり多い
そうは言っても、腰痛の患者さんは本当に多いです。
日常生活の中で、立つ・座る・かがむ・持ち上げるなど、腰に負担をかける動作は避けられません。しかも、長時間のデスクワークやストレスも腰痛を引き起こす一因になります。
だから、私たち鍼灸師としては、腰痛に対応できる知識と技術はしっかり持っておく必要があります。
むしろ、「腰痛がきちんと改善できる」ことは、最低限のスタートラインとも言えるかもしれません。
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